出荷者紹介

真鍋 佳亮 さん

「 HIS FLOWER BLOOMS.」

 高松市中心部から南へ車を走らせると、景色は徐々に緑色と土色に変わっていきます。丘陵部に向かう空港行きの道路に折れず、そのまま直進し徳島との県境へ進む道をしばらく走れば高松の奥座敷、塩江に到着。

google mapを頼りに川を渡り、なかなか険しい山道をさらに進むと、少し開けた場所に花き栽培用のハウスが連なっているのが見えてきて一安心しました。
この場所でカーネーションを栽培し市場に出荷している農事組合法人「香花園」理事の真鍋 佳亮さんに話を伺いました。

香花園が管理するハウスは大小合わせて13棟。
ハウス内はぽかぽかと温かく、山に囲まれている立地のためとても静か。
熟練の社員さんがカーネーションの芽取りをしていて、時折聞こえてくる芽を摘む音が耳元に心地よく届きます。取材でなければ、このまま仕事終いの時間までハウスの中で昼寝をさせてもらいたい気分。

 この穏やかな環境にある香花園で作られるカーネーションの大きな特徴は、苗から自分たちで作っていること。現在、国内の花屋さんに並ぶカーネーションの半分以上が外国産であることを考えると、いちから「メイドイン香川」のカーネーションを作ろうと務める香花園の心意気がしみじみ感じられます。

 また、香花園ではカーネーションの新品種開発にも力を入れていて、これまでにいくつもの新しいカーネションを世に出してきました。そのひとつ、「レアレア」と名付けられ新品種として登録された鮮やかで可憐な紅いカーネーションは、取引先の花屋さんの、昔のあだ名から付けられたそう。「レアレアはハワイ語で”おてんば娘”を意味するんですよ」と真鍋さんは笑います。       

本来、カーネーションは多年草の植物ですが、他の栽培農家さん同様に香花園でも「1年草風に」栽培しています。カーネーションは梅雨のジメジメした季節が苦手で乾燥に強い性質があるため、毎年6月上旬から植え替えの準備、6月下旬から7月上旬にかけて植え付けます。

もちろん、花が咲いて出荷するまでほったらかしにしておくということはありません。 スタンダードと呼ばれるタイプのカーネーションは頂点にきれいに花がつくように、スプレータイプのカーネーションはバランスよく花がつくように、日々の枝を整える作業はかかせません。

 またカーネーションは自分で直立して成長することはできないので、出荷するまで茎が倒れないようにネットで作った枠に入り続けるようにチェックし管理する必要があります。それらの作業はすべて手作業で行われ、その丁寧な仕事の積み重ねが美しいカーネーションの出荷につながります。           

生産者としての日々のカーネーション栽培のほか、地元の小学生を招いて行う「花育」や、2月14日に男性から女性に花をプレゼントする「フラワーバレンタイン」などの取り組みを通じて、花と消費者との距離を縮めようと務めてきた真鍋さん。 

ようやく実が付き始めたこれらの活動に加えて、今後はカーネーションを使ったフラワーボックスキットの制作などもやっていきたいと、楽しそうに試作品を見せてくれました。

今後、香花園からどんな花々が町に届けられるのか、とても楽しみです。

文 : 松村 純也